内視鏡以外の大腸検査  
 @注腸造影検査

 古典的な大腸検査です。以前は中心的な大腸の検査でした。胃の検査でバリウムを飲んだ経験のある方はいるでしょう。あのバリウムをお尻から注入し、同時に空気も送り、大腸を膨らませて大腸の粘膜にバリウムを付着させて、粘膜の凹凸を撮影する検査です。内視鏡検査と同様に、多量の下剤を飲んで、大腸をキレイにしてから行います。

 
結果から言いますと、「所詮、影を見てるだけにすぎない検査」です。特にがんや、ポリープなどの多発するS状結腸などでは複雑に腸が走行し、影が重なり合い、詳細な病変は容易に見落とされます。
 近年、内視鏡で発見されるようになった早期の平坦の病変については、もちろん発見することは困難です。また、東日本大震災以降、「被ばく」という言葉に敏感になっていますが、この検査はの下記に述べるCTCと同様に、「放射線を浴びる検査」です。
 毎年一回撮影する胸部レントゲン写真の被ばく量の約200倍ともいわれています。無論、妊婦さんなどには実施できませんし、細胞の採取(生検)、病変の切除などはできません。

 結果、怪しい病変が疑われた場合は、もう一度多量の下剤を飲んで、内視鏡検査が必要になります。
 ACTC (CT colonography : 大腸コロノグラフィー)

 CT(computd tomography)とは、人体の断層写真を撮影する検査です。このCTCとは、CTの技術を駆使して、1〜2リットルの下剤を飲み、大腸の中をキレイにしてから、肛門からチューブを挿入し多量の気体を挿入し、そのチューブを挿入したままCTを撮影する検査です。

 これにより、内視鏡を挿入しなくても、あたかも、大腸の中を内視鏡のように観察しているような「仮想」の大腸の粘膜面を画像化する検査です。内視鏡検査では、粘膜の裏に隠れてしまうような「死角」になる部分まで病変を捉える事ができる検査です。

 しかし、表面の色は「壁」としか把握できず、一色であり、粘膜面の詳細な色調の変化、平坦な病変の有無、その固さの変化など、病変の詳細な情報を得る事ができず、時にはポリープと残った便との判断も困難なこともあり、前処置が少し不完全であっただけでも、進行がんを見逃すこともあります

 また、注腸造影検査と同様に「放射線の被ばく」もあり、妊婦さんには実施できません。病変の生検、切除もできません。

 結果、怪しい病変が疑われた場合は、もう一度多量の下剤を飲んで、内視鏡検査が必要になります。 
 Bカプセル内視鏡検査

 最も新しいタイプの検査です。錠剤のようなカメラを「内服」することによって大腸の粘膜を撮影する検査で、「錠剤を飲むだけで大腸が観察できる!」という文句で注目を集めています。

 そんな魅力的なカプセル内視鏡検査ですが、意外と周知されていない短所があります。それは、これまで述べてきた内視鏡検査や、注腸造影、CTCでは、1〜2リットルの下剤を内服しなければならないと述べてきましたが、実はこの検査はその約2倍の4リットル近い量の下剤を飲まなければなりません。
 さらに、カプセルが腸内をゆっくり移動する為に、5〜8時間もの長時間、体に湿布程度の大きさのセンサーを7〜8枚も体に貼り付け、さらに記憶装置をぶら下げて過ごさなければなりません。肌に敏感な人は、その部位が痒くなったり、皮膚のトラブルが出ることもあります。

 費用も高く、保険が利用できても、3割負担で約3万円かかります(内視鏡は約7,000円、CTCは約10,000円)。そして最悪の場合、腸に狭窄があり、その場で詰まったりしてしまうと、もちろんカプセルは消化液で小さくなることもありませんので、腸閉塞をきたし、緊急開腹手術でカプセルを取り出さないといけない事態に発展することもあります。

 もちろん、「見るだけ」の検査なので、これまで述べてきた注腸造影、CTCと同様に、病変の生検などの直接的なアプローチもできません。

  結果、怪しい病変が疑われた場合は、もう一度多量の下剤を飲んで、内視鏡検査が必要になります。

 さらにこの検査の保険適応は、内視鏡検査が盲腸まで到達できなった人に限られます。つまり、内視鏡検査を一度は受けないと、保険の適応にはなりません。 

 NEW!!ちなみに、どうしてそんなに大量の下剤の内服が必要になるのでしょうか?

 内視鏡検査をしている途中に患者様が「あー、まだこんなに水が残っているんですねぇ。結構出たと思ったのですが…。」とよく言います。正直、検査する側にとっては、水がいくら残っていても吸引できるので全く問題はないのですが、どうして残っているかというと、腸内の流れというのは、「ところてん」とよく似ているのです。
 前処置のために内服する水分のうち、前半に飲んだ水は、中盤に飲んだ水が押してくれるから出るのです。中盤に飲んだ水は、後半に飲んだ水が押してくれるから外に出るのです。では、後半に飲んだ水は誰が押してくれるのでしょうか?誰も押してくれないから、腸の中にとどまっているのです。ですから、内視鏡を挿入して残っている水分は、後半に飲んだ水なのです。

 さて、ここではさらにその後にカプセルを内服する事になります。このカプセルは、誰が押してくれるのでしょうか?もちろん、このまま何もしなければ、誰も押してくれません。実際は、腸の蠕動運動で進むのですが、その速さが遅いため、そのまま電池が切れて、画像も何も送信しない、「ただのカプセル」になってしまいます。もちろん、検査もその時点で終了です。つまり、これを避ける為に「水」に押してもらうのです。カプセルを飲む前に飲んだ水をもう一度飲みましょう!という事で、「さらに倍」になるのです。こうして飲む必要量は合計4リットル弱になるのです。

 @注腸造影の画像 ACTCの内腔画像  ACTCの全体像  Bカプセル内視鏡 
       

そろそろお気づきでしょうか?  結局、最終的に求められるのは「内視鏡検査」です。

 放射線の被爆をしたり、大量の下剤を内服したり、高い費用を費やして受けた結果、少しでも怪しい部位があれば、大腸内視鏡検査のために、再度下剤を飲む事にります。

 「だったら、最初から内視鏡検査をしてしまえば??」

 結局、結論はそこです。「内視鏡検査は大変だ」という噂だけで回避してる人は沢山います。実は「内視鏡検査が大変」なのではなく、「どこで受けたか」が大きな問題なのです。苦痛を少なく提供している医療機関を賢く検索してみると、「思うほど大変な検査ではなかった」、という感想を与えてくれる医療機関はありますので、うまく探してみて下さい。