当院の大腸内視鏡検査とは 

 大腸内視鏡検査とは、肛門からカメラを挿入し、大腸の最も奥にある盲腸まで挿入した後、引きながら大腸内の粘膜を観察して病気を探す検査です。大腸は身長くらいの長さのある臓器ですが、内視鏡自体は約1.3mしかありません。なぜ奥まで入るのかというと、S状結腸や、横行結腸をアコーディオンのようにして短縮させながら挿入するからです。包み紙に入ったストローを出すときに、紙をギュ!っとすると、ストローの方が長くなりますよね?それと似たような現象です。

どのような人が受けているのでしょうか?

 一般的に、この検査を初めて受ける患者さんの多くは、町や会社で行われている便潜血の検査で陽性という結果が出た方、あるいは下血(肛門からの出血)を自覚した方が多いです。他には、以前小さなポリープがあり、定期的な経過を観察する方、以前にポリープを切除したことがある方、以前に大腸がんの手術をしたことのある方、そして、最も大切なのは、自覚症状は何もなくても、大腸がんが心配という方です。

どこで受ければ良いのか?賢い病院選び

 インターネットでは、沢山の情報があふれていますが、その中で、どのように病院を選べばいいのでしょうか?
 まずは、ホームページで詳細に情報を公開している施設です。その中でも、なるべく詳しく大腸内視鏡検査について語られている施設です。一概に、「大きな病院ならよい」というのは、安易な考え方です。大きな施設というと、大学病院などで代表されますが、熟達した先生の集合体かというと、そうではありません。あくまでも「教育機関」であるため、最初は、経験の少ない医師が担当し、十数分も、悪戦苦闘して、若手医師がギブアップ、そして上手な先生にバトンタッチ、よくある事です。上手な先生も、最初から上手かった訳ではありません。誰もがこうした経験をして、一部の医師が上達していくのです。そう考えると、総合病院などの大きな病院も、例外ではありません。もちろん、熟達した先生に最初から当たればよいのでしょうが、それはある意味、「運」にまかせることになります。

ならば、どう賢く選ぶか?

 
それは、小さな医療機関で年間症例数が多い施設です。年間検査数が1,000例を超えているという施設は、ハズレが少ないと思います。ならば、検査数だけで比較すればよいのでしょうか?大学病院、総合病院などでも、1,000例どころか、2,000、3,000、5,000例を超えるところなど、ゴロゴロしています。では、そのような医療機関では、何人の医師が検査をしているのでしょうか?年間3,000例やっていても、内科・外科を含めて消化管の治療に携わっている医師が10名いて、大腸の検査をしているのなら、単純に一人300件/年の計算となります。実際に、件数を公開していても、検査医の数を公表している施設はほとんどありません。ですから、件数だけで評価するのは、安易すぎるということです。

 大腸内視鏡検査は、決して簡単ではなく、消化管の治療に携わっている医師の誰もができるものではありません。大腸内視鏡検査に力を注いでいる病院のホームページによれば、やはり「上手い先生」と言われる医師の症例数というのは、少なくとも、年間500例以上で、生涯経験数は5000件以上といった具合です。話が戻りますが、「小さな医療機関で年間症例数が多い施設」というのは、検査している医師の数が少ない、という意味を含んでおり、経験豊富な医師が検査を行っている可能性が高く、その医師に当たる可能性も高いという事です。

検査日はいつ?すぐにしてもらえる検査なのか?

 当院は、祝日以外の毎日検査を行っています。現在、月曜から土曜日まで午前中4〜5件、水曜日の午後に3件、週に約30人、一年間で約1,400件の検査を行っています。検査医は原則1名(副院長)で、院長は緊急時に行っております。副院長は、昨年度(2014年4月〜2015年3月まで)は、年間約2,000例(当院で約1,200例、他の病院・医院で800例)を行っており、検査は原則予約制になっています。時期にもよりますが、6月〜7月にかけて、周囲の市町村で大腸がん検診を行う時期になるので、比較的混み合います。場合によっては1ヵ月半待ちになる事もありますが、多くの場合、2週間〜1ヶ月待ちとなっております。もちろん、早急に検査が必要と判断されれば、柔軟に対応し、緊急で行います。

検査中の雰囲気?検査後は?

 検査はまず、お尻の部分に小さな穴のあいたズボンに履き替えていただき、左を向いた横向きではじめます。内視鏡を挿入し始めて、間もなく、ひざを曲げたまま上を向いて、右足を組んでもらいます。大抵はこの体位変換だけで一番奥にまで到達しますが、場合により、右や左を向いてもらうこともあります。検査中は、会話もできますので、自分の大腸を見ながら、その場で質問もできますし、こちらからのお話を聞くことも可能です。可能な限りリラックスした雰囲気を心がけています。多くの患者さんは、多少お腹が張って押されるところもあったけど、「先生がお話してくれたので、思ったよりも、楽にできた」という意見をよく頂いております。

どのように観察をするの?

 最も奥(盲腸)にまで入ったら、患者さんと一緒に内部を観察しながら引き抜いていきます。この時にもし家族や親族と一緒に来院しており、本人が一緒に見る事に同意してもらえれば、皆さんと一緒に観察します。というのも、やはり沢山の目で見たほうが間違いがなく、複数の人に説明をした方が情報の正確性が増すからと考えています。もちろん、本人が拒否されれば、そういった方に見せるような事はいたしません。

下剤を飲む「状況」が嫌だ!

 大腸内視鏡検査をするには、大腸内の便をキレイに出しておかないといけません。その為には、多量の液体の下剤を飲んで、何度もトイレに行き、水様の便を何度も出すことになります。ピーク時には、数分に一回の頻度でトイレに「通わない」といけないのです。この状況をどこで迎えたいですか?
 今まで経験された方は分かると思いますが、どのような「状況」で下剤を飲まれましたか?自宅ですか?それとも、院内でですか?もし、院内であった場合、その日の検査を受ける他の患者さん(男女問わず)同士が、一緒に飲んで、数ヶ所(場合によっては一ヶ所)のトイレを共用して排便を済ませるとい状況でしたか?

 なかなかいいものではありませんよね?そうでなくても、周囲に気を使わなくてはならず、あまり、慣れない場所で下剤は飲みたくないものです。当院の場合、原則的に自宅で飲んで、排便を済ませてから来院してもらいます。排便のピーク時は、本当に頻繁に出ますから、一つのトイレを占拠できる事がどれだけありがたいかが理解できると思います。

 しかし、中には院内で飲んで排便を済ませたいという方もいます。その主な理由は、遠方からの来院であるとか、家族に気を使うとか、やはりトイレが心配といった理由です。院内で下剤を飲みたいという「状況」を望む方にも、当院は柔軟に対応しており、水曜日の午後に限って、午前中から来院してもらい、個室の病室(トイレ付)を利用して頂き、午後に検査を行っています。ベットもあり、テレビも自由に見れますので、周囲に気を使う事なく安心して下剤を飲む事ができます。自分の好きなスタイルで下剤が飲める環境を選べるというのは、決して多くないと思います。

治療はどこまで?

 当院はポリープの切除は行っておりません。その理由の一つに、患者様を待たせたくない、というのがあります。午前中に5人程度の検査を行うのに、ポリープを切除していたら、最後の方を1時間以上も待ってもらう事になりかねません。個人的に「待ってもいい」という方もいますが、全ての患者さんがそう考えている訳ではありません。また、実際に切除が必要な患者様は、1割程度しかいません。ポリープの切除をしないからといって、決して無意味ではありません。ポリープは、髪の毛や爪と違って、血が通っています。切除すれば、当然その部位からの出血の可能性があるので、その後の安静が必要になります。安静とは入院を意味します。

 しかし、多くの場合、検査だけの目的で予約して、突然その日から入院です、といわれても、それをすぐに受け入れられる方は、そうはいません。つまり、最初の検査をポリープの切除を行っている医療機関で受けても、その場で入院できるケースは少なく、2回目に切除できる医療機関に入院して、もう1度下剤を飲んで、治療を行うのです。

 せっかく下剤を飲んだのだから、ついでにポリープを切除してほしいという気持ちも十分に理解できますが、もし、切除した夜に、自宅で便器が真赤になるような出血があったらどうしますか?どんなに小さなポリープでも、1個だけでも切除すれば、その後の出血率は0%ではありません。

 「クリニックに電話する」→夜は休診
 「救急車を呼び、救急隊の方に病院を探してもらう」→「大腸検査ができる医師は当直しておりません」と断られる
 「他を当たる」 → 「そう簡単には見つからない」

 つまり、時に新聞で目にする「たらい回しの主人公」です。
 医療というのは、安全第一です。このような理由から、当院では、ポリープ切除はせず、信頼できる医師が勤務している医療機関に紹介しているのです。

 つまり、一回目の検査をどの医療機関で受けるのか、という点で考える時、ポリープ切除を行っているかいないかを判断材料にするのではなく、評判がよく、楽な検査を提供しており、正しく診断してくれる医療機関で検査を受けることが必要です。

ポリープが発見されたら?

 小さなポリープは、放置して構いません。しかし、赤みを帯びているようなポリープや、キノコの形をしたようなポリープであれば、多くの場合、内視鏡での切除が必要です。自宅から近いなどの地理的条件を踏まえて、切除の可能な病院への紹介状を検査直後に渡しております。入院期間などは施設によって異なりますので、紹介先の病院で伺ってください。

「がん」らしい腫瘍の発見?

 あえて「らしい」と書いたのは、大腸がんの項目でも述べましたが、細胞を見ないと確定診断を得られないからです。ですから、私達が画面上で「悪性らしい腫瘍」を目の当たりにした時は、「かもしれない」とか「可能性がある」といった言い方しかできません。しかしこの時代、がんを隠して手術を行う事は少なくなってきました。手術が必要そうな腫瘍があった場合、「治療が必要かもしれないから」と言って、やはり地理的条件を考慮し、手術の可能な病院を紹介させていただいています。

挿入が大変と聞きましたが・・・?

 挿入が楽な人は、3分もかからず盲腸まで挿入できます。しかし非常に個人差があり、腸が非常に長かったり、腸がお腹の中での固定が緩く、腸全体が比較的自由に動いてしまうなど、様々な理由で難易度が左右され、挿入を断念せざるを得ない方も、少なからずいます(1%未満)。どのような人が入れにくいのでしょうか?

便秘症の方(傾向として女性は腸が長い為、便秘症が女性に多いのはこのため)。
婦人科手術(卵巣、子宮、帝王切開)などの既往のある方(S状結腸周囲が癒着するため)。
腹部の大きな手術の既往のある方(やはり癒着による影響)。
80歳以上の方(腸の固定が緩く、弱く、腸が容易に伸びるため)。
極端に肥満の方(お腹の中で腸が伸びる余裕が広いため)。
極端に痩せている方(腸の動きまわれる余裕が少ないため)。
体質的に、もともと腸が長い方(どちらかと言うと、女性に多いが、稀に男性でも長い方がいる)。
体質的に、下行結腸(左側の大腸)の腹壁との固定がゆるい方(女性に多く、実際当院で検査すると分かります)。

 様々な状況はありますが、上に該当したから必ず大変だということではありません。中には、どうしても難渋するケースもありますが、患者さんと相談しながら決して無理せず検査をしております。ただ、今までの患者様の意見を伺いますと、「前回よりも楽だった」、「前の病院よりも楽にできた」という声も、決して少なくないのも事実です。

一度内視鏡検査をしたら、もう受けなくてもいいのですか?

 そうではありません。40歳以上であれば、2年に一度の検査を勧めています。大腸の病気の成長は、速い物ではありません。2年に一度くらいの頻度で受けておけば、将来がんになるポリープも、いずれ内視鏡で切除が可能な大きさの範囲内で発見できるであろう、ということです。

数年前あった小さなポリープが消えました。本当ですか?

 大腸の中は、ヒダが沢山あります。小さなポリープは、そのひだのウラに隠れてしまう事もあります。ですから、前回あった小さなポリープが、次回も必ず見つかるとは限りません。つまり、大腸内視鏡検査をしても100%全ての粘膜を観察するのは困難ですが、そのような小さなポリープの殆どは、すぐに切除を必要とするもではありませんので、定期的に観察して、切除が推奨される大きさのもの成長していれば、その都度治療を行えばよいのです。

ポリープで紹介されたら、1ヶ月待ちと言われてしまいました

 焦ることも無いし、珍しい事ではありません。全国どこでも大きな病院では日常茶飯事です。上にも述べましたが、大腸の病気の成長は早くないので、「一ヶ月も経ったら、内視鏡で切除できなくなってしまうのではないか??」と心配する必要はありません。1ヶ月くらいなら、焦らずに入院の順番を待って下さい。小学生の成長と例えてみてください。1、2ヵ月後に会っても大して変わらないですよね?でも、1年も経ってから会うと大きくなってますよね?ポリープの成長も、その程度の早さなので、1〜2ヶ月先でも、心配はありません。

便潜血検査が陽性!初めて検査を受けます、という方へ

 健診結果で急に心配になりますが、「便潜血陽性=がんの確率が高い」という訳ではありません。むしろ、検査は陽性であったものの、実際内視鏡検査を受けてみたら、結果は異常なしだった、という方が殆どなのです。その理由は、次の「便潜血反応の罠」で詳細にお話しします。
 ザックリ言うと、検査で陽性と出なくても、40歳以上であれば、2年に一度は、内視鏡検査を定期的に受けて、とっとと便潜血検査は卒業するべきです。


 大腸内視鏡検査 INDEXへ