大腸内視鏡検査の後は
すぐに好きなものが食べられる!(?)
 下剤もたっぷり飲んで、終わった検査、食事も解禁!(?)

 食事制限も乗り越え、飲みたくない下剤もたっぷり飲んで、トイレの往復を強いられ、ようやく検査も終わり、やっと食事にありつける!と思ったら…?まさか、そうではないの??

 もちろん、検査の結果によって、その後の経過は多岐に及びます。まずは、結果の多い順に解説します。

@検査の結果「異常なし」だったケース

 発見されたとしても、小さなポリープだけで、特に今すぐ治療が必要とされるような病気が発見されないのが、一番多い結果で、「異常なし」という事になります。

 このような場合、我慢してきた食事にすぐにありつけるかというと…一概にそうではないので、このページを立ち上げました。

 もし、検査に麻酔をしている医療機関であった場合、麻酔が覚めるまで、検査後も大抵1〜2時間程度は、院内で休んでいくという事になります。

 休憩時間も終わり、病院から解放されたとしても、完全に麻酔が切れている訳ではないので、その日は多かれ少なかれ、ボーっとしていたり、眠気がしばらく取れないケースもあります。

 もちろん、その日は車の運転もできませんので、夕食は、車で外出して、どこかに美味しいご飯をを食べに行こう!という事は出来ません。むしろ、麻酔の影響で眠気もあり、そんな余裕はない、と体感した方は少ないくないのではないでしょうか。

 また、たとえ麻酔をかけずに「異常なし」という結果であっても、挿入するのに時間を要し、検査自体が30分以上もかかったり、たとえ短時間であっても、お腹の中を散々かき回されて、とても痛くて「ようやく終わった…」、という印象で検査が終了したのなら、その後、何かを食べよう!とは、なかなか考えられないかもしれません。

 つまり、検査が終わり、楽しみな食事が比較的早期に摂取できる検査内容とは、「麻酔をかけずに、挿入にも観察にも時間がかからず、検査中の腹痛も比較的軽く済み、検査終了時点での腸内のガスが少なくなっていて、腹満感が少ない」という条件が全て整って初めて得られるのです。

 もちろん、どこの医療機関でも、全ての患者様にそのような印象を与える検査を行うのは不可能です。

 当院の場合も、もちろん、全員がそのような印象をもって帰られる訳ではありませんが、麻酔は全例において使用せず、検査時間もさほど長くなく、腹満感を低減させるため、二酸化炭素の送気を使用し、検査中も会話をしながら比較的リラックスできる検査を提供できているためか、検査後の十数分程度(会計を待っている程度)で、お腹の多少の違和感がある程度で、自家用車で帰宅し、軽い食事がすぐにできる方が多くを占めています。

 特に当院の場合は、午前中に検査が終了しますので、午後から仕事に向かう為に、仕事着で来院して検査を受ける人もいますし、中には友人同士(特に女性同士)で検査を受けに来られ、昼食はどこかでランチをして帰るという方もいらっしゃいます。


Aその場でポリープを切除したケース

 当院では切除していませんので、あり得ないケースなのですが、多くの医療機関で、多くの人が想定していない食事制限・運動制限を強いられるので、その一例を紹介します。

 また、心臓や脳などの持病があって、血液を固まりにくくする薬剤「抗凝固剤」を内服している場合は、その場で切除して欲しくても、切除できない事もあります。

 そのような場合は、処方している先生から、ポリープ切除を行う一時期において、そのような薬剤を中止しても大丈夫かどうか、という書面が必要になる事もあります。

 一例にすぎませんが、ポリープを切除した後の指示される内容を紹介いたします。

 《病室の無い小さなクリニックの場合:小さなポリープ切除に限られる》

 切除後、2〜3時間は、点滴室などのベットで休んでから帰宅
 当日は入浴禁止 一週間は、アルコール禁止
 さらに、この期間内の力仕事、旅行や出張、いわゆる「遠出」は禁止

 《入院施設はあるが、入院せず帰宅できる場合:やはり小さなポリープ切除のみ》

 来院時に付き添いがいて、帰宅時には車の運転をしない
 
 体動の制限

 切除当日の入浴は禁止 翌日はシャワーのみ 翌々日より入浴可
 翌々日まで自宅での安静が必要
 特に当日は、トイレ、洗面などの必要最低限の動きのみで、なるべく横になって過ごす
 1週間以内は、体を動かす仕事、運動、遠出は禁止。温泉も1週間禁止

 食事の制限

 翌日の夜まで(治療日の夕食、翌日の3食:合計4食)、は、低残渣食「レトルト食品セット」を購入し食べてもらう
 アルコールは1週間禁止

 《入院設備があり、最初から入院の予定で切除する場合》

 切除後は、車いすで看護師と病室まで戻り、翌日まで、必要最低限の動き以外は、ベット上での安静
 止血剤などの点滴  食事は翌日から  当然、入浴・シャワーも利用不可

 翌朝、採血(貧血・出血の兆候の有無を確認)
 腹部レントゲン撮影(腸の壁に穴が開いていいる兆候の有無)を確認  問題なければ退院

 切除後一週間は、他院と似たような体動・食事制限


 どうでしょうか、実際はこれだけの「制限」があります。実際に体験しないと知り得ない事実がここにあります。

 その場で切除してくれれば有難いのは理解できます。しかし、時に、「切除してくれないのですか?」と安易に言う患者様がいますが、はたしてこれだけの「制限」を周知しているのか?これらの制限を実行できる状況で言っているのか?

 恐らく、知らない人が殆どだと思います。なぜかと言うと、ここまで突っ込んだ情報を提供している「場」が無いからです。

 つまり、ササッと切除して、夜は入浴して、食事を普通にして、少々飲んで、明日も普通に仕事、週末は飲み会、出張で東京(遠方)へなどは、「あり得ない」のです。

 ポリープの切除というのは、規模が小さくても「手術」です。原則は入院が推奨される治療です。

 なぜこのような厳しい制限か与えられるのかというと、その全ての目的は「安全第一」です。いわゆる、術後に切除した場所から数日経過して「大量出血」をするケースがあるので、これだけの注意喚起があるのです。

 ポリープ切除は、基本的に「甘く見ない方がよい」とお考えておいた方が無難です。

 「そんな大袈裟(おおげさ)じゃないのでは?」と思われる方が多いのは、十中八九が問題なく済むからです。

 日本一の内視鏡の名医がどんな小さな大腸ポリープを切除しても、その後の合併症の発症率が0%という事はあり得ません

 近所の人が、「ポリープ切除して帰ってきた。その後なにもなかったよ。」と言うのは、殆どの患者様が、切除後にトラブルを起こさないからです。当然ですが、切除後の経過が良くて文句を言う人はいません。

 問題は「殆ど」の「裏」、つまり、ごく一部の患者様は、大量出血に遭遇し、緊急入院し、再度大腸内視鏡検査を受けたり、時には輸血が必要になることもあります。

 輸血とは、「輸血って献血から得られた血液でしょ?」と安易に考える人が多いのですが、提供するなら、ジュース一本で引き替えられますが、「受ける」となると、「万」という単位の金額が必要になります。量が増えれば、10万超えもあり得るのです。

 そのような、想定外の金額を請求され、苦悩を強いられる状況になる事を知っているので、このようなケースが極力少なくなるように、我々医療人は、大袈裟と思われる注意喚起をしているのです。

 もし、この文章を読まれて、ご自身がこの情報を周知してから大腸内視鏡検査を受け、その場でポリープが発見され、切除できる状況が整っている医療機関であった場合、これらの「制限」を予め知っておけば、リスクを周知した上でポリープ切除を受ける事ができるので、我々医療人からしても、説明をする上で、「非常に理解のよい患者様」と認識されると思います。

 お互いにリスクを知るというのは、非常に大切な事です。インターネットに山ほどある中情報の中で、正確な情報を得てから何かしらの施術を受ける場合は、非常に役に立つ手段となりますので、このような情報を的確に得るのが賢い方法だと思います。


Bやや大きなポリープ、腫瘍などが見つかったケース

 上に述べたような出血、穿孔(腸に穴があく)などのリスクが高くなるために、その場では切除せず、後日入院の準備をしてから治療という事になります。

 入院日を決めて、入院してから、もう一度下剤を飲んで、治療にとりかかる事になりますが、内視鏡で切除が可能なのか、外科的な手術が必要になるのかは、病変の大きさによって決定されます。

 つまり、病気が発見されただけで治療は行われていないので、検査後の食事というのは、@で述べた「異常なし」というケースと同じ扱いになります。

C大きな腫瘍が見つかり、内視鏡が奥(盲腸)まで到達できなかったケース

 腫瘍によって狭窄が生じている状態なので、飲んでもらった下剤が満足に出きっておらず、腫瘍の奥(口側)にはまだ、下痢便が沢山溜まっている状態です。

 腸が詰まってしまう寸前の状態です。このような状況のことを「腸閉塞」といいます。便が出しきれていないので、お腹は張りますし、吐く事もあります。つまり食事が摂れない状況です。

 当然、このような状況では、自宅での生活は不可能なので、「緊急入院」になります。帰ってから食事!などと言っている場合ではない事は容易に想像がつくと思います。

 もちろん「明日からの仕事が…」などと言っている場合ではありません。嘔吐して気管に流入すれば、誤嚥性肺炎で、時には命が、という話にもなりかねません。

 さて、検査後の食事は?という話題でしたが、BやCになってしまわないようにするためには、やはり病気は小さいうちに発見しておいて、楽な治療で済ませておく必要があるのです。

 そのためにも、定期的(2年に一度と推奨)に大腸内視鏡検査を受けておけば、想定外の苦労や後悔をするような可能性は極めて低くなるのではないかと思います。

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