「貧血を指摘された」「最近、顔色が悪い」

 別の病気、例えば、糖尿病や高血圧、高脂血症、高尿酸血症(痛風)などで定期的にかかっている病院や医院で、特に症状がなくても、定期検査で採血し、偶然に貧血が発見されることがあります。貧血の程度を示すものとして、「ヘモグロビン量(Hb)」という項目があります。男性で14〜16、女性では12から14程度が正常とされています。80歳以上の高齢者では、特に病気が無くてもこれらの数値よりも2〜3程度は少ないことはありますが、その年齢までにはなっていないのに、たまに10だとか、人によっては6などという値を時にみることがあります。しかし、これまでの経験からすると、ヘモグロビン量が10未満の場合は、やはり出血源を探す必要があります。

 健康な人から血液を抜いて、ヘモグロビン量を10まで低下させたらどうなるでしょうか? 確実に意識はなくなります。なぜ、10未満でも日常生活を送れる人がいるのでしょうか?それは、徐々に時間をかけてゆっくり貧血が進行したからです。体が、その血液量にゆっくり順応してしまうのです。ですから、高度の貧血の患者さんに輸血をすると、顔面が赤々とし、「体が楽になった」と、お約束のように言われます。かかりつけの医院があるのであれば、定期的な血液検査は必須です。。

 このように、大腸がんは、その発生する場所によって、症状は様々です。「おかしいな?」と感じたのであれば、胃も含めて、内視鏡検査を受けることが懸命です(厳密には、症状が無いうちに受けるのが最もよいのですが…)。

 余談にはなりますが、こんな患者さんに遭遇したことがありました。

 高度の貧血(ヘモグロビン量が5前後)があるのは間違いないのですが、本人曰く、お尻からも出血していないそうです。血も吐いていない。大腸、胃の内視鏡検査しても異常なし。CTでも肝臓や膵臓、腎臓など、肺も何も異常なし。どこからも出血していないのに、貧血だけが進むのです。なぜ「血」が無いのでしょうか…?

 「血が十分にある」ということを、八百屋さんの「商品が満足に陳列されている状態」と考えて下さい。果物、野菜は売れれば店頭から消えます。あるいは、時間がたって、腐って売り物にならなくなれば、店頭から消えていきます。さらに、消えた商品を仕入れないと店頭には並びません。では、「売れてもないのに、店頭に無い」その状況をどう考えるかです。「売れず、腐って消えて、供給がない」ということです。人体で考えるなら、血液にも寿命があり、時間とともに、消費されます。さらに、どこからも出血してない(商品で言えば売れてない)状況なのに、血液が減るということです。
 つまり、「供給がない」のです。血液は骨髄で作られています。しかし、この骨髄工場にトラブルがあれば、完成品は生産さまれません。結果的にこの患者さんは、血液を造る場所の病気、いわゆる「白血病」の一種でした。
 簡単なことから、大きな大変な病気が見つかることもありますので、普段通院している患者さんはもちろん、定期的に採血して健康チェックをするよう心掛けて下さい。


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