「検査結果の言葉のアヤ。《ない》は、《見えない》」

 検査結果について、注意しておかなくてはいけないことがあります。「CT検査や超音波検査で、転移はありませんでした。」という報告があります。しかし、これは非常に誤解を招きやすいのです。ちなみに僕が患者さんや、その家族の皆さんを前にして、手術前の検査結果の報告をするときには、このような言い方は控えています。

 例えば検査報告書で「肝転移の疑いあり」あるいは「肝転移あり」という報告は、専門の医師が検査結果を見て、本来あるはずのない構造物が写っていたから報告したのです。つまり、「ある(存在するもの)」を「ある」と言い切るのは簡単なのです。では、無かったから「なし」と言い切れるのでしょうか?
 実際、画像に写っていなければ、当然「ない」と報告せざるを得ないでしょう。でもそれは、現状において、確認できる転移はない、と言っているのです。

 先ほども触れましたが、腫瘍はある程度の大きさになるまで写りません。画像を見ている医師は、目の前にある電子カルテのモニターを見て、転移と疑われる病巣が「写っているか」、「写っていないか」を診断しているのです。「写っていない」ということは言い換えれば「確認できるものはない」「明らかではない」と言っているのです。つまり「ない」ではなく、「見えない」なのです。いつになれば、「ない」=「転移ない」なのでしょうか?
  5年です。5年が経過して、転移が現れなければ、「5年前の手術した時には、転移は無かったんだね!」って笑顔で言ってあげられます。
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