肛門を締める力が弱くありませんか?肛門括約筋不全について
 
 排便には内肛門括約筋・外肛門括約筋・肛門挙筋・恥骨直腸筋という4種類の筋肉が関与しています。女性はもともと筋力が弱く、さらに分娩時、これらの筋肉が損傷されやすいため、若くして便失禁をおこすことがあります。また高齢になると男女とも括約筋の力が衰えます。このように排便時以外に便が漏れてしまう状態を肛門括約筋不全といいます。

 当院では括約筋の力や直腸内の圧力をコンピュータで数値化して測定することができます。通常、括約筋の力は無意識に肛門が締まっている状態(静止圧)で50mmHg前後で、意識して締めると(随意圧)80mmHg以上になります。静止圧が40mmHg以下になると便失禁を起こしやすくなります。

 直径5mm程の細いセンサーを肛門に差し込み、肛門に力をいれない状態(静止圧)を測定し、その後3回ほど意識的に肛門を締めてもらい、随意圧を測定します。全行程およそ5分ほどで終了です。また検査による痛みはありません。

 以下に当院で実際に肛門括約筋の力を測定した結果を示します。
症例@ 76歳 男性

静止圧: 50mmHg
随意圧:190mmHg

 静止圧がやや低いものの随意圧は十分強く、
76歳という年齢を考慮すると、ほぼ正常といえる
症例A 69歳 男性

静止圧:20mmHg
随意圧:70mmHg

静止圧、随意圧とも、明らかに低下している。
この方は普段から便失禁を起こしやすく悩んでいた。
  症例B 69歳 男性

静止圧: 40mmHg
随意圧:120mmHg

グラフAと同一人物。

30日間のリハビリをおこない再度測定した。
静止圧が2倍、随意圧が約1.7倍に上昇した。
明らかにリハビリの効果が現れ便失禁を起こさなくなった。
 当院では、括約筋不全が認められた場合、測定結果にもとづきリハビリの指導を行っています。
心当たりのある方は外来受診時に遠慮なくご相談ください。

直腸・肛門内圧測定器