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抗凝固剤(血液をサラサラにする薬)を内服している方へ
そもそも、それって何? 手術やポリープ切除の影響とは?

抗凝固剤(こうぎょうこざい)とは、一般的に「血液をサラサラにする薬」と言われる薬です。

 ケガをすると血管が切れて出血します。そのまま放置しても、多くの場合は自然に止まります。これは、血液の中に含まれている「血小板」の作用で、損傷部位を修復するため、出血が止まるのです。いわゆる、血液を固まらせる作用があるのです。

 しかし、この作用が裏手に出てしまう場合もあります。つまり、固まったら困る場合があります。血管が血液の塊(かたまり)によってふさがった結果、血液がその先に流れなくなる事の総称を「梗塞(こうそく)」といいます。心臓に起これば「心筋梗塞」、脳の血管で起これば「脳梗塞」といいます。では、なぜ脳と心臓が特に問題になるのでしょうか?

 「両方とも重要な臓器だから」と言ってしまえばその通りなのですが、特にこの2つの臓器には、血管に特徴的な構造があります。それは「終動脈(しゅうどうみゃく)」という構造をしているからです。他の臓器にもこの構造をもっている臓器はあるのですが、特に心臓と脳では、大きな後遺症を残したり、致命傷になる場合があるので、特に重要なのです。

 この「終動脈」という言葉はあまり聞いた事がないと思いますが、多くの血管は、枝分かれをして、その先でまた合流しており、「網の目」のような構造をしています。つまり、網を構成している糸を一か所切っても、網全体が壊れてしまう訳ではありません。その先でまた糸が結ばれているからです。これを血管で言えば「吻合」といいます。

 一か所が切れても、その先で隣からの血液の供給があるので、その先に血液が行き届かなくなる事はありません。しかし、「終動脈」というのは、いわゆる「木の枝」のような構造になっています。つまり、その先で隣の血管が合流してくる事がありません。一部の木の枝が折れれば、その先の葉が全部枯れる、という事になります。

 つまり、心臓でそのような梗塞(血管が詰まる事)が起こると、ポンプ機能をしている心臓の筋肉が壊死(えし)を起こし、体に十分な血液を供給する事ができなくなるのです。もちろん、致命傷となる場合もあります。そして、脳でそれが起きれば、脳は人間の全ての感覚・運動・生命維持を支配している中枢部ですから、その血液が供給されなくなった先が、何をコントロールしている領域なのかによって、様々な症状が後遺症として残る事になります。

 そもそも、血管が詰まるという事は、本来血管の中に流れている物が「塊」として血管を詰まらすのです。その原因となる物は「血の塊:血栓(けっせん)」です。この血栓ができやすい病態はいくつもありますが、代表的なものをここでいくつか紹介します。

 まずは「不整脈」です。不整脈とは、脈が不整なのですから、心臓がリズミカルに規則正しい調律で拍動していない状態の事をいいます。原因は様々ですが、その不整な収縮によって心臓内に血液の乱流が生じて、血栓ができやすくなります。

 その不整脈を治療するために、内服治療を必要とされている方もいますし、薬ではコントロールできないような、重篤な不整脈には、ペースメーカーという電波発生装置を皮下に埋め込み、強制的に心臓にリズミカルに電波刺激を起こし、人工的に不整脈を予防するという治療法も広く行われています。いずれにせよ、血栓ができやすいリスクを背負っている事には間違いありません。

 また、「異物」が入っている場合も血栓の発生が危惧されます。例えば「人工弁」や「人工血管」などが挙げられます。本来体内には存在しない異物の一部から、血液の塊が形成されやすい事が知られています。

 他にも血栓ができやすい病気はあるのですが、当方、専門外なため、全てを解説することはできません。とりあえず、この血栓による重大な後遺症を予防するために、「抗凝固剤」という薬が長期にわたり必要になります。「抗凝固剤」とは、その「凝固」という機能に「抵抗」する薬の事を意味します。簡単に言えば、「血液を固まりにくくする薬」です。



この類の薬を内服している方は、安易に手術や治療を受ける事ができないのが原則です。

 
単純に考えてみましょう。血が止まらないのに、手術をしたらどうなるでしょうか?出血多量で非常にヤバい状況になるのは、素人でも理解できると思います。

 そのような重篤な合併症や、致命的なダメージを起こす可能性のある血栓症のリスクを軽減する働きのある抗凝固剤は、「血液をサラサラに、血栓(血の塊)ができないようにする薬」なので、第一印象としては、とてもいい薬なのではないか!という事ですが、「血が固まりにくい」という事は、「止血しにくい」という状況を生みます。

 当然ですが、外科手術をはじめ、内視鏡でポリープを切除するような、出血を伴う処置をする際に、出血は止まってもらわないと困るのです。ですから、そのような処置を施す前に抗凝固剤を内服しているのか、いないのかは、どこの医療機関も厳重にチェックしている項目です。

 ならば、処置を行う前に、抗凝固剤の内服を中止してしまえばいいのではないか? と思うのは当然ですが、その類の薬は、専門とした医師(主に循環器内科医や循環器外科医)が必要であるから処方しているので、専門外の、消化器外科医や消化器内科医が、「その薬を内服していると、血が止まらないから、飲むの止めて下さい。」と、処方している医師の意見を無視して、勝手に中止する事はできません。

 ですから、(痔に限らず)手術を受けることになった、胃や大腸のポリープを内視鏡で切除することなった、という場合には、その旨を抗凝固剤を処方している先生に相談して、一時的に休薬してもいいかどうかの判断をしてもらう必要があります。

 例えば、「抗凝固剤を飲んでいる目的は、あなたの場合、過去に重篤な血栓症があった訳ではなく、一時的なしびれの症状があっただけで、予防的に飲んでいるので、短期間であれば休薬は可能です。〇〇日前から、飲むのを中止しても問題ありません。」という場合もあり、そのような内容の書面を受け取り、治療をする先生に「診療情報提供書」として提出する必要があります。

 ちなみに、治療までの休薬する日数に関しては、薬の種類によって異なりますので、処方している先生に正確に説明を受けて頂く必要があります。そして、必要な治療が終了し、出血のリスクが低くなると想定された期間が経過したら、治療前と同じように、抗凝固剤の内服を再開します。

 しかし、このような軽症のケースとは逆に、重篤な後遺症があり、持病により血栓ができるリスクが高いと思われる場合では、たとえ短期間であっても抗凝固剤を休薬する事ができない場合もあります。このような場合には、点滴による薬の切り替えが必要になったり、少し手間がかかる場合もあります。当然ですが、あまりにも血栓の形成のリスクが高い場合には、休薬することは不可能という事になります。



 さて、そこで、「抗凝固剤の内服を中止するリスク」「そのリスクを背負ってまで受ける治療によって得られる恩恵」を天秤にかけるのです。その恩恵が、抗凝固剤の内服を中止するよりも得るものが大きいのであれば、リスクを背負う価値があるという事になります。逆に得られる恩恵が少なければ、わざわざ危険を承知でリスクを背負う事はしないのが当然です。

 堅苦しい文章では分かりにくいで、もう少し分かりやすく、具体例を出して解説します。

 「痔」は、言わずと知れた良性疾患です。がんのような悪性疾患ではないので放置しても、多くの場合、生命を左右するような状況には、まずなり得ない病気です。しかし、悪性腫瘍ではなくても、生命をコントロールしてしまう病気があります。それが、上で述べた心筋梗塞や脳梗塞です。

 しかし「痔」も、肛門の違和感だとか、排便の度に突出してきて、毎回指で収納したりと、日常生活の質を非常に下げる可能性のある病気であるのは事実なのですが、生命を脅かすような病気ではないのも事実です。その病態を治療するのに、どれだけのリスクを背負って治療をする意味があるのか?というのが「天秤」です。

 軽い血栓症のリスクであれば、それは、日常生活に苦渋を強いられている痔疾患は治療する価値があると思います。しかし、生命にかかわるようなリスクの高い血栓症が背景にあるのならば、良性の痔を治療をする「恩恵」を上回れないという事になります。

 極端に考えてみて下さい。「今回、痔の治療をしましたが、脳梗塞、心筋梗塞になり、半身が麻痺しました、あるいは寝たきりになりました。でも痔は治ったのでよかったですね!!」という状況を受け入れられる人などいる訳がありません。

 痔は、「所詮」と言ってしまえば、良性疾患です。命を左右する病気の治療と優先順位という意味で比較すると、決して優位に立つことない病気であることは間違いありません。しかし、時に、日常生活において、非常に「支障」となるのも事実です。何年も前から(特に女性の場合、お産から…)、すでに数十年が経過してから、お尻に何かあったのは気づいていたのは事実なのですが…、と言って当院を受診する患者さんは少なくありません。

 特に女性の場合、ランチで話が盛り上がり、場所的に羞恥心があるのも理解できますが、ようやくその高いハードルを乗り越えて肛門科に受診した際には、ある意味「手遅れ」の状態で受診される方がいるので、このページを立ち上げたと言っても、過言ではありません。

 私が診療中に良く患者様に言う言葉があります。「良性でも、悪性でも、早いうちがいいですよ」という言葉です。しかし、上の述べてきたように、生命の危険のリスクを背負ってまで、良性の日常生活のちょっとした邪魔になる痔を治すというハードルを越えられない人がいるのも事実です。

 その邪魔者が、日常生活に支障を来すような大物になる前に、重大な臓器の血栓症のリスクを背負う前(抗凝固剤を飲まないといけない状況になる前)に、羞恥心もほどほどに、いわゆる何の常用薬の無いような、いわゆる「健康・元気」な状態のうちに、気になる痔があるのであれば、その時に治しておけばいいのですが、はやり人というのは、ギリギリの困った状況に追い込まれないと、羞恥心が越えられないのも事実です。

 最終結論です。

 普段から気になる痔があるのであれば、抗凝固剤を常用的に内服しなければならない状況になる前に、早めに専門医療機関を受診して正確な診断をしてもらい、例えその治療法が手術であったとしても、治療しておくべきだと思います。

 人間、誰しも年齢を重ねれば重ねるほど、抗凝固剤を日常的に服用しなければならない状況になる可能性は高くなります。抗凝固剤が手放せない状況になってからでは、「手術」という選択肢は消えます。つまり、手術による根治術は受けたくても受けられない状況になります。以後、切除は諦めて、その後の人生は痔とうまく共存して、付き合って行くしか選択肢が無くなります。

 もし、既に抗凝固剤を内服されている方は、その薬を出している先生から、「診療情報提供書」を書いて頂き、「〇〇日前から休薬可能です」という書面を持って来て頂く必要があり、許可が出れば、手術による治療が可能になります。

 大腸内視鏡検査の際に行われるポリープの切除も、ほぼ同様の扱いと考えて頂いて間違いありません。

 当院で内視鏡治療が必要があるポリープが発見され、普段から抗凝固剤を内服されている場合は、ポリープの治療ができる病院に紹介状を書くのと同時に、まずは抗凝固剤を処方してもらっている医療機関に受診して、「診療情報提供書」を貰ってから紹介先の病院に持って行くと、話がスムーズに進むので、そのような趣旨で説明させております。

 抗凝固剤の内服は、重大な病気のリスクを軽減させる目的で内服しているのです。そうなる前に、気になるものは「退治」しておき、第3、第4の人生を痔などを気にせずに過ごせれば、QOLの向上に繋がると思います。


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