「手術せずに痔を治せませんか?」という質問をよく受けます。『痔の手術は痛いから、手術をしないで薬で治したい』、あるいは、『注射で治したい』、と考えている人がいると思います。当院では、来院される患者さん全てに手術を勧めるわけではありません。症状の軽い人は、薬で経過を観察します。どうしても痛みがとれない、あるいは出血が止まらない場合には手術を行います。
・保存的治療
症状が軽い場合は、手術をせずに外来通院にて薬(坐薬・軟膏・内服薬)で治療を行ないます。初診の方の約6割は薬で治ります。
・単純切除法(電気メス・レーザーメス使用)
内痔核、外痔核、裂肛、肛門ポリープなど、1〜2ヶ所の小さな脱出の場合にその部分を切除する方法です。入院期間は1泊2日で、その後は1〜2週間に1度通院し、約1ヶ月間で完治します。場合によっては、妊娠中の女性や高齢者でも手術が可能です。
・凍結法(冷凍メス使用)
当院では昭和48年に冷凍メスを導入しました。液化炭酸ガスを使用し、痔核などの患部を-31℃で凍結し、脱落させます。現在でも症例によって使用することがあります。
・結染切除術(電気メス・レーザーメス使用)
脱肛、つまり肛門周囲が脱出している場合は、この方法を用います。入院期間は約7〜10日間くらいです。
- Q.「痔の手術は痛いものなのでしょうか?」
A. ヒトの痛覚が最も敏感な場所は指先と肛門部といわれております。しかし、現在では種々の鎮痛剤があり、手術方法も改善され、手術時やその後の痛みもそれほど強く感じなくなっています。手術後は翌々日から入浴が可能になり、下半身を暖めることにより、術後の負担がより軽くなります。
- Q.「手術時間や入院期間はどれくらいでしょうか?」
A. 手術時間は約5〜10分間です。入院期間は痔核や裂肛で1泊2日、脱肛や痔瘻では、程度にもよりますが約7〜10日間くらいです。
- (注1) 手術には麻酔が必要です。肛門部の手術は、腰椎麻酔が理想ですが、当院では肛門周囲の局所麻酔で手術を行います。局所麻酔の利点は安全で時間がかからないことですが、ひどい脱肛や、深い痔瘻の場合などは手術ができないことがあります。そのような場合は、それ相応の病院を紹介致します。詳細は「病診連携について」の項をクリックしてください。
- (注2)当院では昭和43年の開業以来、手術件数は42,000例を超えて、1ヶ月平均130例です。そのうち80%は、1泊2日の入院です。痔になっても、症状が軽ければ薬で治ることが多く、たとえ手術をしても、ひどくなければ入院期間も短くて済みます。尚、入院期間は1日だけでも、傷が治るには1ヶ月ぐらいかかりますから、仕事などは7〜10日間ぐらいは休まなければなりません。無理をすると治るまでに時間がかかります。
- (注3)たとえ簡単な手術でも年齢に関係なく危険は伴います。その要因となるものは例えば、注射、特に麻酔によるショック、薬の副作用、アレルギー反応、持病の増悪などが挙げられます。持病が手術に支障を与えると考えられる場合には主治医に手術が可能かどうか許可を得る必要があります。また、たとえ術前検査で何も異常がなくとも手術中に事故が起こらないとは限りません。特に高齢者の方、耳の不自由な方、体の不自由な方、病弱な方、また未成年の方の場合は手術前に家族の同意が必要です。手術に対する注意事項などをお話しますが、そのときに患者さん本人だけでなく家族の方も一緒に話を聞いていただきたいのです。また手術当日の午後5時頃から手術後の説明があります。その際も前述のように健康に不安のある方は、家族の方の同席が必要です。手術には最善を尽くしたいと思いますのでご協力の程宜しく御願い致します。
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